馬守り坂(うまもりさか) 野黒目から大沢県営住宅にあがる坂道がある。昔は、 床波から新川に行く唯一の公道で、荷馬車であがるの に大変苦労する坂道であったために、馬を大切にする ことから名付けられた。 この坂には「一人で通ると馬の首が柿の木に下がる」 と言う伝説がある。夜明け前に、馬車や車力を引いて 新川方面に行く人たちが、坂の下に何人かが集まり、 助け合って坂をあがるための「教訓伝説」である。 馬の首が下がるとは『下がり』と言う妖怪のことで、 日本各地に現れる。道中に死んだ馬の霊が木に宿った ものと言われており、路傍の古木の枝に馬の首だけが ぶら下がって通行人を驚かせる。また、「さがり」を 見た者は熱病を発症するという。 「さがり」が現れる場所の近隣には「馬頭観音」など がある。(東岐波の磯地) |
子落とし坂(こおとしさか) 萩原団地から岡ノ辻への坂道で、現在は車が往来する坂道に整備され ているが、昔は近道に利用した小道で、背中に背負った子どもがずり 落ちるほどの急な岩道であった。 |
迫田の坂(さこたのさか) 迫田の地にあり、床波から善和・船木へと抜ける 旧道で重要な道であった。通称「さこんたざか」 と言うが、「さこんた」とは水田に灌水するため の足踏み式水車のことで、おもに子どもの仕事で 「晩方、涼しゅうなったら、さこんたを踏んじょ けやー」と言われたものである。 この坂道は、粘土質で雨が降ると、二歩上がって 一歩下がるほどで「さこんた」を踏む様子に似て いることからこの呼び名がある。今は、知る人も いないほどの山道となっている。 |